トゥギャッチ編集部選「お前よくぞそんな写真撮ってたな選手権」
見えない物語を感じる写真
続いて、背景の物語をいろいろ想像できる写真シリーズ。
花の整列
抹茶味のじうがわ a.k.a ナマコ博士(@jiugawa2018)さんは、日常にふと見つけた素敵な1シーンを送ってくれた。
夕方、人のいなくなった公園の前を歩いていたら見つけました。
お昼にはたくさんの子どもが遊んでいる公園です。 きっと子どもたちが規則正しく並べて遊んでいたのでしょう。 並べた子の几帳面さが窺えます。(赤が端にあるのがまた良い)
伝わるかわかりませんが、なんかすごく良いな〜と思ったので投稿させていただきました。
これよこれこれこういうの!派手ではないけど、じんわりと「なんかすごく良い」写真。並べた人の気持ちや、周りの人間関係まで想像してしまう素晴らしい写真だ。
植木で封印されたエレベータ
ebeko 地味ハロ&桃鉄ファン(@ebeko9000)が投稿してくれたのは、エレベーターのレアな姿。
投稿された写真を見た時「どこかのオフィスビルで社員が作った応急処置的なバリケードなのかな?」と思った。ebekoさんに詳細を聞いてみると、なんと近所のスーパーで見かけた光景とのこと。
懐かしさを感じる建物や設備を見ることが好きで観察するのですが、ここのエレベータは面白い封鎖をされているな、と感じてこの写真を撮影しました。
何らかの事情でエレベータの利用を制限しなくてはならなくなったとしても「じゃあ植木で塞いどくか」という発想にはなかなか至らない気がする。スーパーという、多くの人目につく場所での処置だと考えると、なおさら不思議だ。
スーパーのスタッフの間でどんなやり取りがなされたのか想像すると、えもいわれぬ可笑しみがある1枚。
歴代首相湯飲み
続いて、三代目の魔王(@rally279)さんが投稿してくれた「歴代首相湯飲み」の写真。
個人経営の飲食店やお土産屋さんなどでたまに見かける渋いアイテム。正直なところ、一見して「なぜこれが投稿者の心引っかかったのか?」が分からない。 三代目の魔王さんにポイントを聞いてみた。
始めは柔らかい絵柄に目が行って、それの後各首相の時代背景などが気になりました。
戦後日本最短記録の羽田孜、口を尖らせて答弁することをつつかれることが多い麻生太郎、大改革の小泉純一郎あたりは笑いながら「似てる」と思いましたね。
出てきたビールとラーメン食べながら、首相名から名言(迷言)を思い出すのも結構思い出せるものだなと思いをはせました。
この時代に「こんな人いたなぁ」なんて思いながら眺めているにはちょうど良いアイテムです。
なるほど!三代目の魔王さんは、この湯飲みをフックに日本の近代史をさかのぼるタイムトラベルをしていたのだ。
見かけても「渋いなぁ」の一言で通り過ぎてしまいそうな品も、見る人が見れば立派なコンテンツとしての奥行きを楽しむことができる。
ちなみにこちらの湯飲みは山志陶製所製で、同社は菅義偉首相が指名された2020年9月16日には菅首相の似顔絵入り歴代首相湯飲みをリリースしている。対応の早さよ。
箸の散らばった道路
もこし(@morokoshiage)さんが投稿してくれたのは、箸が散らばった道路。
特定のアイテムが道端に散乱している様子は、日常でも比較的遭遇率が高い現象ではるが、もこしさんが撮影した写真は、よく見ると妙に不可解な1枚だ。
撮影したのは2020年9月6日。仕事終わりに新宿で行われていた個展を訪れた帰り、ギャラリーのドアを開いた目の前で箸がたくさん落ちていました。
場所としては近くにスーパーがあるわけでもなく、人も少ない通りで、時間も22時くらいと遅い時間でした。
なんでこんなに箸落とす???ここで??(落としたことに)気づくよな??と思い、写真を撮った次第です。
箸はひとところにどさっと落ちているわけでもなく、人が歩いた軌跡に沿って一直線に落ちているわけでもない。この箸が落とされた時の動きを全く想像できない謎さがあるのだ。大変気になるではないか。
こちらもまた、ストーリーの奥行きを感じる素敵な1枚といえよう。
その他
そのほか、単発で紹介したい写真を紹介する。
悪い顔してるぜ
Jun Uwaizumi(@uwajun)さんが投稿してくれたネコちゃんの画像。
コタツで寛いでいたところ、台所からガサガサ音がするので、見るとこんな状態でした。ネコはほんとに余計なことしかしません。
見つかった時の「悪いことしてたぜぇ」って感じの表情が最高にいい。猫の盗み食いといえば魚や肉類などのイメージが強いが、2匹がワルな顔で狙うのは野菜。以前からザルに盛っていた野菜を盗み食いしたりしていたらしく、前科持ちだ。
ちなみに、もみじ(上/色が濃いほう)ちゃんとキース(下/色が薄いほう)ちゃんはJun Uwaizumiさんの友人のネコだそう。
この手のネコイタズラ写真は、飼い主さんが投稿するパターンが多いが、ご友人が応募しているという点もちょっとクスリとくる味わいがある。
売ってまっせ!なマスク
身 委 ね た(@T___ANE)さんが見つけたのは、奇妙なバランスで朽ちたマスク。
好評販売中! みたいなノリで捨てられていたマスク
投稿コメントがシンプルでじわじわ来る。しかしよく見るとこのマスク、重力の法則に反していないか?どうやってこの形を保っていたのか…!
身 委 ね たさんから送られてきた別カットの写真を拡大してみると、謎が解けた。植木の枝に紐部分がひっかかっていたのだ!!!
マスクを支えているのは紐の1点と公園看板の面だけなので、少しでもバランスが崩れたらこの形にはならなかっただろう。また、よく見たらマスクに使われた形跡もない。誰かが新品のマスクを、わざわざこの形で捨てていくとも考え難い。
捨てられたマスクが風に乗って偶然この形に落ち着いたのだとしたら、かなり奇跡的な珍写真ではなかろうか。
ホーチミンのサークルK
ファミリーマートとの統合で、2018年に日本の全店舗が閉店したサークルK。Tamam Shud(@plex4096)さんは、ベトナムのホーチミンでサークルKを発見した時、衝撃を受けたという。
写真はホーチミンのサークルKです。店舗はホーチミン市内でたくさん見かけました。
私は愛知県出身で「愛知県民にとってのサークルKは、北海道民にとってのセイコーマートと同じくらい重要な存在」だと思っているので、驚きました。
どこの店舗も割と狭くて小型商店のような感じで、タバコ、飲み物、スナックなど菓子類、軽食と言った品揃えでした。日本のコンビニの一般的な店舗面積を期待して入ると少々拍子抜けしました。
愛知県では、日本の中でも特にサークルKの店舗数が多かった県の1つ。現地のコンビニに入りたくなるのは「海外旅行あるある」だが、ことTamam Shudさんにとっては、異国の地で馴染みのオアシスを見つけるという印象的な体験だったのだろう。
投稿者本人の背景あっての「よくぞそんなもん撮ってたな」写真だ。