年越しそばに憧れる蕎麦アレルギー持ちが「蕎麦に限りなく近い麺」を作ってみた

今年こそ年越しを味わうんじゃ…!
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クルミ粉を3割に増やす方法を考える

試食会でさらなる改善の方向性も見えたので、大晦日までにクルミ麺をアルティメット版に近づけるフェーズに入る。

これまで何とか麺の形に出来たのはクルミ粉2割の逆二八麺だ。しかし、あとになってみてよくよく調べると、蕎麦の場合は、蕎麦粉の割合が3割以上含まれていないと定義上「蕎麦」を名乗ることができないらしい。なんと、逆二八では足りぬではないか。

一応蕎麦に準じるやり方でこれまでやってきたので、クルミでも3割ラインはクリアしたいところ。先に教えていただいた水回しを入念にやるほかに、クルミの割合を増やしつつ、かつ麺が切れないようにする工夫はできないものか。

麻の実パウダーは粉が細かい

振り返って、クルミ粉よりも粉末が細かいアーモンド・麻の実パウダーは、5割でやっても、少なくともちゃんと生地として伸ばすことができた。となると、クルミ粉ももう少し粉末を細かくできれば、つなぎとの馴染みがアップし、もっと多い割合にしても麺を作れるようになるのではないか。

ということで、追加で小型の電動グラインダー(製粉機)を買ってみた。コーヒー、香辛料などを簡単に粉末にできるというスグレモノだ。

Amazonで3000円くらいで買えた。リーズナブル

予想外の展開と、予想通りの展開

さっそくクルミ粉をグラインダーにセットし、スイッチオン。さぁもっともっと細かくおなり!

グラインダーが景気よくクルミ粉を粉砕する様子を眺めているうちに、ある異変に気付いた。あれ、なんか様子が変だぞ。

ドロドロになってる!!なんで!?

そう、クルミ粉をグラインダーにかけると、クルミに含まれる油分によって細かな粉末ではなくペーストになっちゃうのだ。クルミの油分を侮っていた。

さらさらの粉末にはならなかったが、一応粒が細かくなるはなったので、とりあえずペーストで麺を作ってみることにする。割合は目標の3割だ。

ペーストが固まっているので、つなぎとしっかり混ぜる必要がある

ペーストに含まれる水分が加算される分、水量の加減も変わりそうだ。様子を見ながら丁寧に水回しをして、生地として練れるくらいの硬さまで持って行った。

クルミがペーストになったことで、先のアーモンド麺に匹敵するオイリーな生地になったが、伸ばすときの感触の滑らかさはクルミ粉をそのまま使った時に比べてかなりアップしている。

割れていない大地

蕎麦の生地を伸ばした時の写真↓と比べてみても、色合い共にかなり蕎麦に近づいているのがお分かりいただけると思う。

本格的な蕎麦打ちはこんなに大きな生地になるのだ

かくして完成した、クルミ麺・ペースト版。今までの試作品の中で一番蕎麦っぽい見た目だ。

クルミが細かくなったことで、滑らかさが格段にアップ

さらに箸でつまんでみると…麺がキレテナーイ!!!これは期待が高まる。果たしてそのお味は…

美味い!!!!!ちゃんとした麺だ!!!!!

クルミの香りがさらにアップ。舌触りもより滑らかになり、適度な歯ごたえがあって、コシもある。間違いなく今までで一番ちゃんとした麺になっている。

クルミ粉がペーストになっちゃうという予想外の展開があったものの、粉を細かくすればさらに作りやすくなるという予想はぴったり当たっていた。

これはもう代替え蕎麦ほぼ完成と言ってもいいのではないか。

ふのり革命

残るは、Kさんのお父様に教えてもらった「ふのり」をつなぎに入れるパターンだ。クルミをペーストにしたことで麺の形の完成形が見えた今となっては、ここで新たな食材にチャレンジしなくてもいいのでは?という気もしないでもないが…とにかくやってみよう。

ふのりの粉末もネットで普通に買える。海苔と聞くと緑がかったイメージがあるが、ふのりの粉末は灰色がかった色味だ。

砂みたいな見た目のふのり粉

つなぎとしてふのりをどれくらい入れれば良いか見当がつかないので、ひとまず中力粉を6割、クルミ粉を3割、ふのりを1割の割合で作ってみる。

水回しをしてみると、ふのりが水分を吸うのか、つなぎが中力粉だけだった時よりも生地がまとまりにくい。完成した玉も、最初のほうに作った伸びなかった生地の感触に近い。

嫌な予感がよぎるが、一応生地は綿棒で伸ばせる強度にはなったので、麺の形に切ってみた。かなり茶色味かかった色。うーん、やはりちょっと方向性が違うか?

一抹の不安を抱えながら茹でてみたところ、予想を覆す結果が待っていた。

めちゃくちゃに蕎麦に近い色合いになったのだ。しかも麺が切れていない。何が起きた!?

画像だけ見たら蕎麦だと思うレベル

アップデートされたのは見た目だけではなかった。家に訪ねて来た友人たちと共に食べてみたところ

鼻に抜ける香りが限りなく蕎麦に近い!

麺を噛んだ時の硬さも蕎麦っぽい

これもう蕎麦だな

と、どよめきが広がった。なんと、味もさらに蕎麦に近づいていたのだ。ふのりは、代替え蕎麦がさらなる高みに行くために必要な触媒だったのである。

いっぽうで、海苔を入れたことで、食べたときの粘りが表に出てきてしまい、「食感は蕎麦から少し遠のいた」というコメントももらった。となると、ふのりの量をもう少し抑えればちょうどよくなりそうだ。

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書いた人
ふ凡社

Togetterオリジナル記事編集部員。平凡から非凡へ向かう道を探す男。

Twitter:@Hubonsya