校庭や畑で見かける「溶けたビニールに見える黒いアレ」正体は?専門家に聞いてみた

ゴミかと思っていました…
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学校の校庭や畑などで、地面にべったりとくっついている「溶けたビニールのようなもの」を見かけたことがないだろうか。

東北大学生命科学研究科研究員で微生物生態学が専門のSatoshi Ohkubo(@sutegoma_a)さんが「溶けたビニール状のもの」は「イシクラゲ」という原核生物であることをツイートし、話題になっている。

こんなの、見たことありませんか?
乾燥しているとこんな感じ(PhotoACより

植物にも生き物にも見えないイシクラゲはバクテリアの一種であり、光合成も行うとのこと。

「溶けたビニール状のアレ」の正体を知ったTwitterユーザーからは「生きてるのか」「わかめじゃないの!?!?」「ずっとワカメか何かだと思ってた… お前…バクテリアだったのか…」と驚きの声が寄せられている。

トゥギャッチ編集部では、Ohkuboさんにイシクラゲについて詳しい話を聞いてみた。

イシクラゲはなぜ生える?

イシクラゲはどのような状況で発生するのでしょうか?

簡単にいうと「どこかから飛んできたイシクラゲの欠片が、その場所で増殖して大きくなる」ことで発生します。

イシクラゲは乾燥すると乾燥わかめのような見た目、あるいは板海苔のようなパリパリのフィルム状になります。その状態ではまったく人の目に止まらないこともあるのですが、雨が降ったりして水を吸収するとふくらんで大きくなるため、突然出現したように見えるんです。

イシクラゲは乾燥するとパリパリになり、崩れると粉のようになることもあるのだとか。

粉状にまで細かくなるために、風などで簡単に違う場所に運ばれるようだ。さらに水を吸うと復活できる生命力があるため、どこにでも飛んでいって増えることができるという。

イシクラゲは除去したほうがいい?

イシクラゲが発生したら、周囲の植物にはどのような影響がありますか?

イシクラゲが周囲の植物に、特に影響を与えることはありません。

空気から窒素を取り込むことで栄養分を作ることができるので、長い目でみれば土を豊かにして植物の生長を助ける可能性もあります。

ただし、景観が悪くなったり、踏むと滑って転んだりする危険性もあるので、場所によっては除去したほうがいいかもしれません。

顕微鏡で見ると…

Ohkuboさんはその後、イシクラゲを顕微鏡で見た時の画像をTwitterに投稿している。関心のある人はこちらのツイートも見てみよう。

イシクラゲは食用可能、でも「生で絶対食べないで」

イシクラゲは食用にもできるのだが、Ohkuboさんは「生食は絶対おすすめしない」とのこと。

基本的には安易にそのあたりに生えているイシクラゲを採り、調理して食べることはおすすめできない。

 

Ohkuboさんは現在、「地球冷却微生物を探せ (Soil in a Bottle)」という市民プロジェクトに関わっておられる。

同プロジェクトの詳細は、2021年11月公開される予定だ。興味のある方は、Ohkuboさんのアカウント(@sutegoma_a)をフォローしてみては。

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