2020年11月14日

「ハムスターみたいな本」って何の本!?図書館司書が遭遇した「覚え違いタイトル集」担当者に話を聞いてみた

記憶があいまいになった本のタイトル、つい笑ってしまいます
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昔読んだあの本をもう一度読みたい、あるいは気になった本があるから読んでみたい、なのに、本のタイトルや内容がどうしても思い出せない。そんな経験、誰でも一度はあるんじゃないでしょうか。

福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」には図書館司書の皆さんを中心に、曖昧な人間の記憶から見事、目的の本を探し当てた探索の記録が集まっています。Twitterユーザーからは「ひとしきり笑った」「疲れた時に見るようにしている」といった声も。

人の記憶はどれだけあやふやになってしまうのか。これは実際に覚え違いされていた、比較的有名な本です。それぞれ、何の本なのかわかるでしょうか(正解はこの記事の最後で)。

問1.「とんでもなくクリスタル」

問2.「田崎が野菜持ってないって話」

問3.「昔からあるハムスターみたいな本」

問4.「背中を蹴飛ばしたい」

問5. カンサンジの「やめる力」

出典:福井県立図書館「覚え違いタイトル集」
 

司書のみなさんは曖昧な情報からどうやって「正解」にたどり着いているのか。衝撃を受けた事例について、福井県立図書館「覚え違いタイトル集」を担当する図書館司書の井藤久美さんに聞いてみました。

オンライン取材を敢行しました

井藤さんは2020年の4月からページを引き継いだ4代目の担当者。2020年1月に作られたTogetterの存在をご存知でした。

本のタイトルの覚え違いは、日本のあちこちで発生している

「覚え違い」のページを作ったきっかけは?

初代の担当者が、司書の間だけでこれらの情報を独占していてはもったいないと思ったこと、面白い仕掛けがあれば見に来てくれるのではと思い「図書館のカウンターに来てくれる人のためのヒント集」として開設したそうです。

図書館司書に調べ物、探し物を依頼する「レファレンスサービス」と言うのですが、レファレンスサービスの認知度を上げたいと思って作りました。

「覚え違いタイトル集」に掲載されている事例は福井県立図書館のカウンターに訪れた利用者とのやりとりのほか、県内の近隣の図書館での事例や、「覚え違いタイトルへの情報提供」ページから寄せられた事例が掲載されています。

「覚え違いタイトル集への情報提供」ページには日本全国から「覚え違い」の情報が寄せられている

覚え違いの情報は、どんな人たちから届いていますか?

日本全国から情報が寄せられていますが、県外の図書館や書店員だという方からも届いてます。日本全国で似たような「うろ覚えになっていて思い出せない」ことが起きているのだと思います。

非常に少ない情報から目的の本にたどりついていますが、具体的にはどうやって調べているのでしょうか。

図書館のデータベース検索を使います。データベースは業務用の蔵書検索端末を使っていて、Webで公開されているものとは違います。流通している書籍の書誌データベースや福井県内の図書館の蔵書を横断検索できるなど複数のデータベースがあり、どれを使用するか司書が判断しながら検索しています。

検索の精度は上がっていて、タイトルや著者名、本文からの検索や、作者名の一部分などでも絞り込みができるので、目的の本にたどり着けることが多いです。それでもわからない場合はGoogle検索に頼ることはあります。もちろん、情報が少ないほど時間はかかります。これまで長くかかったのは…30分ですね。

(たった30分!?)

たいていの方は30分以上かかりそうだとなると、あきらめてしまう方もいらっしゃいます……。

司書さんが衝撃を受けた「覚え違いタイトル」

なるほど…。ところで、ネット上では「覚え違いタイトル集」を見て、つい笑ってしまうという人が多いようです。これまでの事例で、井藤さんの印象に残っているものってありますか。

衝撃を受けたものは「ぶるる」ですね…。

ああ…旅行ガイドブックですね…。

旅行ガイドブックの代表格とも言える「るるぶ」


福井県内のとある図書館に来た利用者の方が「ぶるる」と発音していたんですが、カウンターにいた職員が「今、ぶるるって言ったよね……」とこっそり話していたそうです。

※るるぶは「見(る)・食べ(る)・遊(ぶ)」から取って名付けられている。

『痔』というタイトルが『痣』だった、というのも個人的に笑ってしまいました…。

「痣(あざ)」と「痔(ぢ)」は間違えても仕方ない漢字です

『痣』については、当サイトに利用者の方がお父さんから「これを借りてきて」とメモを渡されたそうです。漢字一文字のタイトルは検索したらそんなに多くなかったので特定できました。

井藤さんが強く印象に残っている本はありますか。

プレミアムワン』です。

正しくは『ミレニアム 1』(スティーグ・ラーソン/著)

図書館のデータベースで一致するものが出なかったのですが、カウンターに来た方といろいろお話をしながら「推理小説である」という情報がわかったので、お話することがなければ到底たどり着けなかったと思います。

わからない本があったら、直接図書館で司書の方とお話したほうがすぐに見つかりそうですね。

利用者の方と直接お話ができればいろんな情報を聞けるので、図書館のカウンターにいらしていただいたほうが早いです。利用者の方にいろいろ聞いてもらえると司書も鍛えられるので、ぜひ聞いてください。本を借りるのも大事ですが、調べ物に対応することも図書館の重要な役割です。

「覚え違いタイトル集」を見ながら、「こんなことを聞いてもいいんだ」と思ってもらいたいですね。

うろ覚えすぎてこの程度の情報じゃ調べてくれないだろうな…と思って遠慮してしまいがち。思い出したい本があるなら、まずは図書館のカウンターに行ってみるのが早道みたいですよ。

福井県内の人は、ぜひ福井県立図書館のレファレンスサービスを利用してみては。

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