「フナの姿寿司」が動き出しそうな生々しさ!作成者に気になるお味を聞いてみた
〜3行で説明すると〜
・古い本や聞き取り調査を参考に作った
・「フナの姿寿司」はあまり見られない川魚料理
・「味はいいです」
Twitterユーザーの、フナと納豆のひと🔥(元マンボウ拾ったひと)(@wormanago)さんが作った「フナの姿寿司」のインパクトが大きすぎるとネット上で反響を呼んでいる。
古文書にしたがって作製した結果、とてもうまくなさそうなビジュアルのものが完成した。頭・・・ https://t.co/Vt6H3SHe15
— フナと納豆のひと🔥(元マンボウ拾ったひと) (@wormanago) 2020年1月22日
姿寿司とは、魚の骨や内臓を取り除いて酢で締め、すし飯の上に載せたもの。主にアユやアジ、サバで作られたものが一般的だが、こちらの姿寿司はフナ。頭が残ってせいもあり、なかなかインパクトのある見た目だ。Twitterに投稿された画像を見たユーザーからは「今にも動き出しそう」といった声が寄せられた。
トゥギャッチ編集部では「フナの姿寿司」を作った投稿者から、経緯や作り方について伺った。
───フナの姿寿司を作ろうと思ったきっかけをお聞かせください。
私は日本各地に残る川魚の漁労や、食文化の記録を趣味的な活動として行っています。特に食文化についてはできるだけ詳細を集めては記録し、場合によっては自分で再現したりしています。
四国では現在でも魚の姿寿司がさかんですが、四国や他の地域でもフナを使った姿寿司は聞いたことがありません。そこで、実際につくって、うまいものかどうか調べてみようと思い至りました。
もうひとつぶら下げておきます。魚の姿寿司、頭つきのものは今でも各地にあります。ただし、腹開きのものは少なく(ないわけではない)、しかもフナを使ったものは絶滅している可能性がきわめて濃厚です。私は絶滅したと考えています。これはなれずしではなく、酢締めの姿寿司です。
— フナと納豆のひと🔥(元マンボウ拾ったひと) (@wormanago) 2020年1月23日
腹開きのフナの姿寿司は「絶滅」している可能性が高いのではと考えているという。
せっかくなので高知の姿寿司の写真をあげておきます。サバとムツ。高知ではあらゆる魚が姿寿司になります。アユもあります。でもフナはない。 https://t.co/wRbPThTaXc
— フナと納豆のひと🔥(元マンボウ拾ったひと) (@wormanago) 2020年1月23日
───「フナの姿寿司」はどうやって作ったのでしょうか。
『四国の魚』という戦後に出た本とさまざまな文献、聞き取り調査を参考にしました。作り方は通常の姿寿司に準じたものです。
フナはウロコをを落としてから腹開きして背骨を取り、塩を強めに振って丸一日冷蔵庫で寝かせます。
次に、柚酢と米酢を半々の割合で割り、砂糖を少し加えたものにフナを浸します。3日ほど浸すとフナの酢締めができます。めしは、ご飯に柚子酢と米酢を混ぜ、わずかの砂糖で甘みを抑えた酢飯を作ります。そこに、みじん切のしょうがと、いりごまを混ぜこみます。人肌程度にさまして、俵形にしたらフナをのせ、成形します。酢締めのフナは肋骨が硬いのでむしり取ってから使います。あとはラップで包んで、上から軽く重しをしてしばらく置きます。切って、そのままかポン酢やしょうゆをかけて食べます。
頭の部分はそのままでは食べられないのでごはんだけ外して食べ、頭自体は焼いてたべます。
───味はいかがでしたか。作ってみてどう思われましたか。
味はいいです。少し固めのかすご(チダイなどの幼魚の酢締め)みたいなものだと思ってもらったらいいと思います。他の魚に比べてフナは頭が大きいので格好悪く見え、また妙にいきいきしているような感じがするので不思議です。
投稿者によると、料理や食文化に関する記録は、よほど詳細にかかれていない限り3世代程度でほとんど分からなくなってしまうそう。そのため多くの人に川魚料理のことを知ってもらいたいと考えているという。
これはある種、古文書同然の存在です。私はこの古文書状態になる前に記憶を拾い上げることに力を入れていますが、なにぶん単独での活動ですのですべてがうまくいくわけではありません。多くの方に地域の古老や親戚、祖父母から話を聞いて、かつて水辺に魚が沸くようにいた頃の川魚料理のことを知り、また記録していってほしいと思います。
姿寿司は日本の各地域で作られているが、扱う魚の種類も見た目もさまざま。機会があれば、それぞれの土地の姿寿司を味わってみたい。